医師が医療保険に入らなかった理由|保障内容を精査して出した結論
2026年5月7日

📌 この記事でわかること
- ✅ 医療保険が不要な3つの理由
- ✅ 高額療養費制度の正しい使い方(2026年の改定も解説)
- ✅ 保険料を25歳から40年間投資に回すと、65歳でいくらになるか
- ✅ 親世代の保険が「実は使えない」かもしれない理由
- ✅ 独身なら生命保険すら不要な理由
結論からお伝えします。
僕は現役の勤務医ですが、医療保険に一度も加入したことがありません。
保険の中身を精査した結果、「不要」という結論に至ったからです。
その理由を、実体験と公的データをもとに正直にお話しします。
チワゴ
どくたろう先生!実は親から『社会人になったんだから保険に入りなさい』って言われて。医療保険って絶対入らないといけないんですか?
どくたろう
よくある話だね。実は僕、医師なのに医療保険に一度も入ったことがないんだよ。
チワゴ
えっ!お医者さんなのに!?病気になったときが一番怖いんじゃないんですか?
どくたろう
そう思うよね。でも、ちゃんと中身を調べたら『これは不要だ』という結論になった。今日はその理由を全部話すね。
医療保険を検討したのはいつか
僕が医療保険について真剣に考えたのは、後期研修医のころ、結婚したタイミングでした。
家族の紹介で保険営業の方と話す機会があり、「入院1日につき1万円が給付されるプラン」を勧められました。
チワゴ
それ、良さそうじゃないですか?入院したら毎日1万円もらえるんですよね?
どくたろう
そう見えるよね。でも、保障の中身をよく調べたら『この保険は自分には不要だ』と判断して、加入しなかった。その理由が3つある。
医療保険を不要と判断した3つの理由
理由① 高額療養費制度があるから「家計が破綻するレベルの医療費」はかからない
チワゴ
高額療養費制度なら、患者さんにマイナンバーカードを提出してもらうよう毎回案内しています。でも正直、自分の保険のこととなると、どう使えばいいのかよくわからなくて…。
どくたろう
患者さんに案内できているなら十分わかってるじゃないか。じゃあ改めて、自分自身に当てはめて考えてみよう。
高額療養費制度とは、1か月にかかる医療費の自己負担に上限が設けられている制度です。マイナンバーカードを保険証として使うことで、窓口での支払いが自動的に上限額までに抑えられます。
チワゴ
上がるんですか!?それって改悪じゃないですか?
どくたろう
そう感じるのも当然だけど、大事なのは『それでも上限がある』ということ。がんで手術をしても、長期入院をしても、この金額以上は原則として払わなくていい。医療費が青天井になることはないんだよ。
チワゴ
じゃあ、最悪でも月12万円ってことですか?それなら貯金でなんとかなりますね。
どくたろう
チワゴちゃんの場合はそうなるね。ちなみに僕は所得が高い区分に入るから、2か月分の上限を手元に確保すると約50万円になる。収入によって必要な備えの金額は変わるから、自分の区分を確認することが大切だよ。
毎月保険料を払い続けるより、その分を貯金・投資に回したほうが、長期的には圧倒的に合理的です。
理由② 医療保険の保障内容が、現代の医療実態と合っていない
医療保険の多くは「入院日数×給付金」という仕組みで設計されています。入院1日あたり1万円、というプランが典型例です。ところが、現代医療では入院期間の短縮が著しく進んでいます。
チワゴ
先輩の看護師さんから『昔は盲腸でも2週間は入院してたのよ』って聞いたことがあります。今とは全然違うんですね。
どくたろう
現役の医師として、この変化は肌で感じてるよ。
- 盲腸(虫垂炎):かつて約2週間 → 今は3〜5日
- 帝王切開:かつて10日以上 → 今は5〜7日
- がん治療:手術入院より、通院での抗がん剤・分子標的薬治療が主流に
どくたろう
もう一つ重要なことがある。親世代が昔から入っている医療保険は、当時の医療水準をもとに設計されているから、適応される疾患の範囲が今の医療実態に追いついていないことが多い。
チワゴ
え、どういうことですか?
どくたろう
たとえば、がんの給付条件に『入院を伴う治療』と書かれていると、通院での抗がん剤治療では給付金が出ない。手術の種類や入院日数にも細かい条件がついていて、『てっきりもらえると思っていたのにもらえなかった』というケースが実際に起きている。
チワゴ
親が入っている保険も、実は使えないかもしれないってことですか?
どくたろう
可能性はある。契約書の細かい給付条件まで読んでいる人は少ないからね。『保険料を払い続けているのに、いざというとき使えなかった』というのが、医療保険の一番怖いところだよ。
理由③ 保険料を長期で払い続けるコストが見合わない
チワゴ
でも月5,000円くらいなら安くないですか?
どくたろう
その感覚が一番危ない。25歳から65歳まで40年間払い続けたら、計算してみよう。
💸 40年間の保険料総額
5,000円 × 12か月 × 40年 = 240万円
この240万円を毎月インデックス投資に回した場合、年利5%で運用すると40年後には約760万円になります。
チワゴ
240万円が760万円に!?3倍以上になるんですか!
どくたろう
しかも、この760万円という金額には重要な意味がある。厚生労働省のデータを見ると、日本人が生涯にわたって支払う医療費の自己負担額の平均は約500万円なんだよ。
チワゴ
えっ、生涯でたったの500万円ですか?もっとかかると思っていました。
どくたろう
生涯医療費は約2,800万円だけど、そのうち約2,300万円は医療保険が負担してくれる。窓口で払う自己負担は残りの約500万円、つまり全体の約18%なんだ。
チワゴ
ということは…保険料を投資した760万円の方が、生涯の自己負担500万円より多いってことですか?
どくたろう
その通り。しかもこの500万円には、医療費が急増する75歳以降の高齢期の分も含まれている。現役世代(〜65歳)だけなら自己負担はさらに少ない。それでも医療保険に入り続けるメリットがあると思う?
チワゴ
…全然ないですね。保険料を払うより、投資した方が生涯医療費を余裕で賄えるってことか。
どくたろう
もちろん投資は元本保証じゃない。でも、医療保険から実際に受け取れる給付金の期待値は、多くの場合で払い込み総額を大きく下回る。これが保険会社のビジネスモデルだからね。
¹ 出典:厚生労働省「医療費の見える化」令和4年度。生涯医療費約2,800万円のうち、医療保険給付費が約2,300万円、患者自己負担額が約500万円(約18%)。
では、何も保険に入らなくていいのか?
チワゴ
先生、でも保険は全部不要ってことになるんですか?
どくたろう
いや、それは違う。大事なことを言うね。僕が不要と言っているのは医療保険だけ。本当に必要な保険は別にある——ただしチワゴちゃんの今の状況なら、保険そのものが不要かもしれない。
チワゴ
え、私は何も要らないんですか?
どくたろう
保険で備えるべきは『起きる確率は低いが、起きたら生活が破綻するリスク』だけ。チワゴちゃんは今、独身で扶養している家族もいないよね?
チワゴ
はい、一人暮らしです。
どくたろう
なら今は生命保険すら不要だよ。生命保険が必要になるのは、自分が亡くなったとき『困る人がいる』場合——つまり扶養している家族ができてから考えれば十分。
チワゴ
結婚して子どもができたら考える、ってことですね。
どくたろう
そう。大切なのは『ライフプランから逆算して必要な保障を考えること』。何となく親に言われたから加入する、は一番やってはいけないことだよ。
まとめ
- ✅ 高額療養費制度で、月の医療費自己負担には上限がある(現行:約8〜9万円、2026年新制度:約12万円程度)
- ✅ 自分の所得区分の上限2〜3か月分を現金で手元に置けば、医療保険なしでも対応できる
- ✅ 医療保険の「入院日数×給付金」という設計は、現代医療(短期入院・通院化)と合っていない
- ✅ 親世代が加入している古い医療保険は適応疾患が狭く、いざというとき給付金が出ないケースがある
- ✅ 月5,000円を25〜65歳の40年間投資すると約760万円になり、生涯医療費の自己負担平均(約500万円)を上回る
- ✅ 独身・扶養家族なしなら、生命保険すら不要
- ✅ 家族ができたタイミングで、ライフプランから逆算して保険を考える
チワゴ
患者さんに案内していた高額療養費制度が、自分自身を守る武器になるとは思っていませんでした。ちゃんと自分のこととして考えることが大事なんですね。
どくたろう
そう。『保険=安心』という思い込みを一度外して、中身を冷静に見てみること。それだけで毎月の固定費が大きく変わるよ。
参考資料
¹ 厚生労働省「医療費の見える化」令和4年度(生涯医療費約2,800万円、医療保険給付費約2,300万円、患者自己負担額約500万円)